レッツその日暮らし

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今週のびっくり

今週のびっくり案件は、親切な大家さんと、その店子さんについて。
受け持ちのお客さんが81才になって、アパートの更新を断られたそうだ。大家さん自身が高齢となり、アパートも古びてしまい、廃業することを決めた。
困ったのは店子さんはもちろんだが、大家さんも困った。追い出したらホームレスになってしまいかねないその店子さんのために、アパートが建っている町の、福祉事務所まで相談に行った。それも夫婦で窓口を訪れたのだった。私が本人から相談を受けてから二日後のことである。
大家さんはずいぶんと親切で、出ていく店子さんのために、大家さん自ら不動産屋巡りをするとまで言ってくれたのだけれど、契約するのはご本人なので、とそこは思いとどまってもらった。
こういう大家さんばかりだといいのだが、相談窓口歴が長い自分でもこういうパターンは初である。
それで、一通りの話をした後で大家さんはこうも言った。
「テナントとしては文句のつけようのない人なんです。」

そう。お金があっても高齢だというだけで契約をしてもらえないのだ。賃貸住宅とは。大家とは。この東京では。

そうはいってもご本人もなかなかユニークな人で、その日の夕方電話の向こうでこう言った。
「滑ったの転んだの言っても始まらないから、あなたが言ってた『ホーム』を見に行ってみるわよ」と。

なんとまあ。

見るだけ見てみて、やっぱりアパート暮らしを続けようと思うか、これも転機だと老人ホームに入るかは、ご本人がこれから決めることで、自分の役目はご本人の目の前にカードを並べて見せるだけだ。こういう展開があるから窓口は面白いなあとほくそえむのだった。